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医療事務の就職に資格って必要?答えはNO。面接官が答える

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5年ほどクリニックの面接に携わった経験から医療事務の資格の必要性について語りたいと思います。

主に個人医院の話だと思ってください。かと言って大きな総合病院や調剤薬局でもそう大差はないと思います。

 

医療事務資格について

専門学校や通信教育でとれるものは、全て国家資格ではなく民間資格です。資格をとったところでその資格を持っている人しかできない独占業務というものは存在しなく、待遇が変わることもほぼありません。

 

にも関わらず、10万円とかかけて半年間ぐらいの間無駄な勉強をして資格をとる人が多いのはなぜでしょうか。

 

 

非常にとりやすい資格である

大半の資格の合格率は50%~70%程度です。意外と低いなと思ったかも知れません。

ただし受験資格が一切なく、年間4~6回もの試験が行われているため、この合格率は異常というほど高いのです。受験者数の中には申し込みだけして実際に受験していない人も含まれていると思われるので、実際に受験しての合格率はもっと高いでしょう。

 

また、筆記試験では教材やテキストの持ち込みOKなものも多く、中には在宅試験といって家で受けられるものまであります。家なら時間制限もなく誰に聞いてもよく、テキストも見放題というこんな環境で受ける試験に意味があるのでしょうか。

 

その中で唯一合格率の低い「診療報酬請求事務能力認定試験」というものがあります。これは他の資格とは違い、公益法人が実施している資格のため合格率も低く、30%程度です。

医療事務の中では唯一の公益法人の資格と言っても所詮国家資格ではないので結局は持っていてもあまり意味はありません。

 

 

取ると就職に有利であると宣伝されている

なにかをやりたい→まず資格からという思考と宣伝文句に踊らされて多くの民間資格協会や資格取得会社が潤っています。医療事務で働きたいという女性達の心理をうまく利用した匠みなビジネスですね。

少なくともその資格にかかった費用と時間、労力に見合うほど就職に有利になったりはしません。

 

 

資格マニアの人がとる

世の中には様々な資格を取ることで自分磨きになっていると思っている資格マニアの方がたくさん存在します。履歴欄を資格で埋めたいと思っている人も多いです。

とりやすく人気のある医療事務資格は持っている人が多く、売りにはならないのです。

 

なにかをやりたい→まず資格からという思考と宣伝文句に踊らされて多くの民間資格協会や資格取得会社が潤っています。今や医療事務の資格の種類だけで80種類以上もあります。

 

もちろん就職に有利な資格や持っていることで技術を証明できる民間資格も数多くあるのですが、医療事務関連の資格は全く意味がありません。

その理由の前に、医療事務の仕事の内容について見ていきましょう。

 

 

医療事務の仕事とは

実務内容は、受付、会計、レセプト業務、カルテの整理、電話応対、予約管理、患者のクレーム対応、院内資料作成、簡単な検査、器械の洗浄、消毒、掃除などなどあらゆることをやります。時には看護師がやるべきことをやらされる場合も少なくありません。

特に個人医院なんかだとそれは顕著で、ありとあらゆる雑務を行います。非常に女性が多い職場です。

 

・なぜ人気がある?

大抵の女性が選ぶ理由はこちらです。清潔そう、楽そう、長く勤められそう、勤務時間や場所に自由度があり、子育て中でもパートとして働けそう、他人受けがいいなどなど。

実際に働く前はとても素敵な職場なんだと妄想が膨らみますよね。

では実際働いたまたは今も勤務中の方に聞いた長所短所を紹介します。

 

いいところ

未経験でもOK

意外と業界未経験でもOKな求人は多いです。

 

診察が無料

薬代はとられますが、診察は無料で診てもらえます。

 

休憩が長い

病院にもよりますが、午前が終わって午後の診療時間まで2~3時間あるところが多いと思います。その間に休憩がとれるところは家に帰って家事をしたりもできます。

 

悪いところ

薄給

給料は一般事務職と比べても低い場合が多いです。時給換算すると最低賃金ぎりぎりぐらいなのではないでしょうか。

医師や看護師の人件費を減らすのは、医療の質が下がるためできないため、削るのは事務員の人件費になるのです。

 

人間関係

一番よく聞きます。女性だらけの職場で、高齢の女性が多い場合もあるのでいじめが多く、常に誰かがターゲットにされます。人数多めの職場だと派閥ができ、いわゆるお局様からのきつい洗礼があったりと、退職理由のナンバーワンです。

 

患者からのクレームを受ける

色々な患者さんが来ますから当然クレームもあります。

仮にドクターや看護師に対してのクレームであっても直接は言わず、ほとんどの場合受付に言います。事務の作業がどんどん貯まっていくのに、クレーム処理に構っていられるほどの時間の余裕はないんです。かなりストレスが貯まりますね。

ちなみに待ち時間についてのクレームが一番多いそうです。

 

残業

病院は診察時間ぴったりに閉めるから残業なさそうと思われがちかもしれません。実際は受付した人は全員診なければならないので当然混んでいると時間通りには終わりません。

また、レセプトチェックをする場合、毎月末月初は残業をせざるを得なく夜中までかかることもよくあります。

 

 

こうして見ると短所が目立ちますね。長く働きたいと思って就職するのに離職率が高い理由が分かる気がしました。

では次に資格の必要性について書きたいと思います。

 

 

なぜ資格が必要ないのか

実務経験がある人は職場から勧められたりしない限り資格をとろうとは思いません。転職の際、それが一番の強みだと分かっているからです。

 

資格をとろうと思っている人は、恐らく未経験で雇ってもらえるか不安でせめて資格でもとって武器にしておこうと思っていると思います。

ですが結論から言うと、全く必要ないんです

 

なぜなら資格で勉強した知識は実務では全く使いません。

まず診療科によってレセプトの内容は全く変わってきます。病床があるかないか、レセコン(レセプトコンピューター)のメーカーなどによって業務内容は全く異なります。法改正も2年毎にあり、各診療科ごとに新しく覚えることも増えていきます。それらを全て網羅したような資格は存在しません。

 

面接するドクターや事務長なりはそのことを散々分かっています。保険についての基本的な知識なんかは10分くらいの説明を受けてあとは実際に業務に携わりながら覚えていくしかないのです。むしろそれで十分覚えられます。

雇う側としても、未経験である以上資格があってもなくても教える量に違いはないと覚悟して雇います。

 

でもあるのとないのだったらあった方がいいでしょ?と思うかもしれませんが、僕の場合は例え他が同じで資格の有無だけで判断するならば、ない方を選びます。資格さえあれば受かるだろうと思っている人より、0から覚えます!という人のほうがやる気が感じられ、実際余計な知識がない分教えやすいことが多かったからです。

どこもそうとは言いませんが、費用対効果で見るとそれぐらい医療事務の資格って無駄なんです。

 

 

面接で見るところ

1.履歴書

まずは履歴書です。一番重要なのは実務経験です。同じ科で働いた経験があれば雇う側としては最高です。開院したての若いドクターなんかは他の医院のやり方も聞きたかったりします。

診療科が違っても、受付の経験などがあればやっぱり強いです。例え1年間とかだったとしても、大手銀行で10年働いた人より優先します。一般事務と医療事務は別物なので、例えブランクがあったとしても十分強みになると思います。

 

未経験の場合は、どのくらい社会経験があるのかなんかを見ます。あまり短かったりすぐ辞めてるのを繰り返している場合だと、うちも辞められるんじゃないかと不安になりますからね。

 

あとはしっかり履歴書が埋まっているかとか量産コピーの履歴書じゃないかどうかくらいですね。

はっきり言って資格の有無は選考時に話題にすらなりません

 

2.職務経歴書

実務経験がある場合はどの程度までできるか見ますが、未経験の場合は大してみません。

 

3.本人の態度・性格

未経験だとここが重要になります。なんだかんだ「なぜ弊社に応募されたんですか?」とか色々一応聞きますけど、内容というよりは話し方や雰囲気を重要視します。この人は電話応対や患者の対応うまそうだなとか要領よく仕事こなしそうだなとかを他愛のない質問のやりとりで見ていきます。(質問の内容はさほど重要ではない)

 

ただ未経験である以上、「なんでもやります!」という態度は見せておいた方がいいです。いざ雇ってあれはやだこれはできないって言いだしそうと思われると雇われません。

実際個人医院なんてなんでもやらせますから、事務仕事だけやればいいなんて思っていると裏切られるし辞める羽目になります。

 

それと最も重要視するのがやはり既存のスタッフとうまくやれそうかどうかですね。こればっかりはどの病院も悩みの種です。

面接ではとりあえずうまくやっていけそうな人当りよくてあまり自己主張の激しくない人を選びます。離職率の高い現場では職場に馴染めるかどうかは大きいです。実務経験があっても辞められるとただでさえ忙しいのに他への負担がきつすぎますからね。

 

未経験で経歴に自信のない方はここでアピールするしかないです。いかに辞めない人材を探している病院が多いため、やる気をみせつつ従順さと打たれ強さをアピールしておきましょう。

 

 

いい職場をみつけるために

医療事務で長く勤められる職場を見つけたい。そんな離職率の低そうないい職場は当然人気があり、空きも少ないです。ではその少ない空きにどうやって潜りこむか。

 

資格よりとにかく実務経験です。

とりあえず未経験の方は資格なんて取らなくていいので片っ端から応募してみましょう。パート希望の方は特にです。

しょっちゅう募集しているようなとこは当然ブラックな匂いがプンプンしますが、そういうところは基本的に年中人手不足なので未経験でも雇ってもらえる可能性が高いです。

週に2日とかで1年我慢して頑張れば履歴書に実務経験が1年できます。そうすれば転職してよりいい待遇のところでも雇ってもらえる確率はぐんと上がります。

 

資格なんかに無駄なお金と時間を払うなんてもったいないです。

 

最近は詳しい履歴書なしでネットから簡単に応募ができます。

時間をかけて書いた履歴書を持っていざ面接に行って、ほとんど相手にされずに落とされたら本当に労力と精神力の無駄ですよね。

まずはネットからの応募で好感触が得られてから、実際に勤務するかどうかを考慮してもいいと思います。

面接する側もされる側も、余計な労力をかけたくないという部分は一緒なのです。

 

タウンワーク

 

はたらこねっと

 

実際に僕が担当していた医院がよく使っていたサイトです。

未経験OKなところを探して、どんどん応募してみるのもいいと思います。

 

 

それでも資格をとりたい人へ

ここまで読んでも資格をどうしても取りたいという人は、働きながら「診療報酬請求事務能力認定試験」を取るのがおすすめです。

大病院や公共病院だと資格の有無で待遇が変わるところも稀にあります。ただし実務経験がともなわないとやはり無謀なのでそこはパートでもいいので働きながらがいいでしょう。

独学が心配な方は、「診療報酬請求事務能力認定試験」のための学校もあります。まずは資料請求してみるのも良いかもしれません。

医療

 

自分に自信がなく、どうしても医療関係の資格をとって就職を有利にしたい方は医療事務ではなく「理学療法士」や「歯科衛生士」などの国家資格を取りましょう。ただし専門学校などを卒業して受験資格を得る必要があります。

 

医療事務の資格を持っていますなんてドヤ顔で言うと、関係者からすると失笑ものなので気を付けましょうね。